まむしの兄弟 二人合わせて30犯 [日本映画の感想文-ま行]
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菅原文太と川地民夫主演のまむしの兄弟シリーズ第七弾です。 監督は工藤栄一さんなので、大いに期待できます。
以下、ネタバレあります。
十数億円の遺産をめぐって、まむしの兄弟と、神戸新興暴力団が争奪戦を繰り広げます。
出所したゴロ政は、弟分の勝と神戸の新開地に舞い戻ります。新開地の新興暴力団、加賀組が勢力を誇っていました。
それに気の喰わない二人は、加賀の経営する高級クラブで大暴れします。
ですが、捕われの身に。ジュンの助けで何とか逃げ出した二人だが、翌日加賀組の幹部塚本が勝を訪ねてきます。
幼い頃別れた勝の母親・弥生(三宅くにこ)は資産家で、病弱なため我が子に会いたいというのですが…。
二人がクラブで暴力団(組長は成田三樹夫)に、捕まるシーンは、捕縛シーンが省略されて、いきなり縛られた二人がスローモーションでいたぶられている場面に変わります。
監督の技巧の冴えるところです。
屋外でまむしたちと暴力団員が殴り合いをするシーンでは、ちり紙交換車の近くで展開し、風に飛ばされた新聞紙がスローモーションで舞う中での暴力が、舞のようです。
ラストの暴力団への殴り込みでは、ジュンを殺された恨みに燃える菅原文太が、ラスボスのはずの成田三樹夫をなんと、事務所に飛び込みざま眉間をライフルで撃ち抜きます。
その後で小物たちを撃ち殺していくわけですが、文太が一番恨んでいたのは、悪徳弁護士の菅貫太郎でした。ジュンを殺し、また、三宅くにこも、殺そうとした犯罪のブレインである菅貫太郎が、「遺言書を返す」と書面を差し出すと、ドスで手首から切り落とします。苦悶する菅にむかって
「悪いやつはぎょうさんおるけど、弁護士の悪いやつは許せんのや!勝、はらわたえぐっちまえ!」と死刑宣告をしたのでした(実際にはらわたえぐるシーンはでてきませんが・・・)。
この辺は、脚本や監督の情念がこもっています。そのせいか、カラッとしたラストではなく、極めてウエットな印象を受けます。
三宅邦子さんは、本作では三宅くにこ名義で出演されています。姓名判断でもされたのでしょうか。